仕掛けの感度って何?

 新型コロナウイルスの影響による緊急事態宣言も3月7日解除の予定です。しかし残念な事に患者数の減少が横這いになり、このままではどうなる事か本当に予断を許さない状況になっております。菅首相の発言も実に歯切れが悪く、まさに暗雲垂れこめている感がいたします。我が国、日本政府の方針は今後の当倶楽部の活動にも多大なる影響がありますのでなんとか無事に解除になる事を信じております…。

   さて枕も終わりにして表題の件に参ります。

 最近やけに「仕掛けの感度」と言う言葉を良く耳にいたします。それでお話を聞いてみると皆様仕掛けの感度と言う意味合いが良く解ってらっしゃるのか怪しく感じたので少し私見ですが講釈を述べたいと思います。そもそも感度って何?と言う所から始めますが皆様仰られるのはただ浮きが敏感とかそういう類のものと推察いたします。そもそも感度とは一体何なのか?これは魚よりの信号を感受する度合いの事です。大きく分けて二通りでしょうか。糸より伝わる振動を人体に直接伝えるものと目印や竿先などの動きと言う視覚に変換させ受け取るものになるかと思います。代表的なものは前者は脈釣り、後者は浮き釣りと言う事になるでしょうか。脈釣りは「魚信を如何に人体へ直接伝えるか」という事が最優先で高弾性の素材を使用した竿を使用したり、伸縮性の出来るだけ少ない糸を使用したりと様々な試行がされています。全ては魚信を無駄なく手元に伝える為です。これに針掛かりや仕掛けの操作性が求められるので様々な竿の調子が存在いたします。対して浮き釣りは魚信を視覚に置き換えるのでその「目印が僅かな魚信に対して如何に反応する」かが問われます。また高弾性の竿や伸びない糸の代わりにその時々の状況に対応する為に様々な形状の浮きや穂先が存在します。さてここでは最小のターゲットのたなご釣りのお話なので在来以外はあまり脈釣りの機会は少ないかと思いますので浮き釣りをメインにお話を進めたいと思いますが、因みに脈釣りの中では最小で高感度が求められるのがワカサギ釣りかと思います。現在のワカサギ釣りの道具は穂先(竿?)の進化が著しく、僅かな魚信も伝えます。実はたなごもこの道具立てで釣って見ましたが充分にあたりも取れ、中々面白かったです。

 さて写真の通り色々な形状の浮きが御座いますがじゃあどれが一番たなご釣りに適しているの?と言う事を仰る方が実に多く居りますがどれが一番という事は御座いません。その時々の状況に適したものが一番です。ただあくまで私見ですが感度を上げる為だけであれば小さく、軽く、バランスの崩し易い仕掛けを使えば良いのですが、然しながら過ぎたものは及ばざるが如しで熟練していないと逆に必要以上の情報が入り混乱を招く場合があります。また距離や個々人の視覚の問題もあります。要は見えないと駄目なので幾ら動きが伝わる仕掛けでも見えなければ無用の長物になる可能性もあります。お解りでしょうか。感度とは状況や個々人の能力に左右されると言う事です。これで一概に「感度が良い」とは言えないという事がお解りになられたでしょうか。元々比較をする為の正しい基準等があるわけでもないので自分の能力や状況に見合った仕掛けを選択する事の重要性。これに尽きると思います。また直接に魚との接点になる鈎の選択もあります。組み合わせは実に様々…。悩ましいけど面白いとはこう言う事です。あと付け加えるなら直下の釣りには中通し、距離があるなら斜め通し(これも距離に応じて穴をあける位置が変わるのでご注意を)。もしくは通さずそのまま。4尺超えたらヘラ浮きタイプも面白いかも知れません。いやはや本当に様々ですね。そういえば今号のつり人に増田氏の仕掛けが特集されておりましたがあれは視覚的に大変見やすい仕掛けですね。釣りを見ていましたが微細な魚信を線で捉えられる中々秀逸なアイデアです。(私の中で親浮きがメインの釣りは点としています)まだちゃんと使っていないので不明な所も多々ありますが今後のシモリ浮きの釣りの幅を大きく広げる事でしょう。

 まあ色々思いついた事をつらつらと書き連ねましたがこれもあくまでも参考までにしてください。なにせ私が釣りをする訳ではありません。皆様方が釣りをするのですから。何でも一辺倒では考え方の幅が狭くなるばかりです。考え方のひとつにこういうのもあるんだなと知識として憶えておいて頂けると幸いです。

ではまた。


日本たなご釣り倶楽部

釣りは伝承の遊びです。 現在、様々な釣りが消えています。 このたなご釣りも消えないように後世に伝えられたらと思います。