TANAGOマスターズクラシックレポート

  今大会は全4回のシリーズの上位入賞者、年間上位者、レディース等の有資格者を招待し行われた特別大会である。この大会は本来1月に開催予定であったが、新型コロナウイルスの影響を鑑み予定を繰り上げ、急遽この12月6日に開催をする事となった。大会当日は昨日の冬寒の雨天から打って変わり、静かな曇り空の中で粛々と始められた。この度の試合フォーマットは通常行われているものとは異なり、ここ市原園の全面を使用して行われ、予選を二回、準決勝、決勝を行い、時間的に充実した試合が行われ、参加者の不完全燃焼の無い様に検討し配慮された。さて、この新たなフォーマットで一体誰が勝ち残るのだろうか?


 いつも通りに受付時間になると選手たちが続々と集まって来る。やはりいつも参加されている方が多いのでスムーズに受付までの作業が済む。スタッフが少ない当倶楽部としては大変ありがたい事である。次年度にはこの辺りもクリアし無ければならない課題であろう。またこの度はクラシック大会という事もあり、上位3位までの入賞とさせて頂くが、レディースの方にはささやかながら参加賞の方を用意させていただいた。果たして喜んでもらえただろうか?開会の挨拶も終わり、各自グループごとの釣り座の抽選後、それぞれ指定された場所に入り試釣りを始める。準備が完了したのを確認し、遂に予選が始まった。然しながらこのフォーマットでは個々を見るという事はなかなか出来ない。いつもの様な個人の様子をレポートをする事が不可能である。いつものフォーマットが勉強や参考になる様に実に上手く組んであった事を再認識した。今回の手法が人数が増えた場合を想定したものであったのに対し、やはり前者は個々の釣りを見やすいという利点がある。本来の目的としては大会は学びの場であるので、いずれにせよより良い方法を再検討せざるを得ない。


 やがて予選1回戦目が終わり、今回は公平性を維持する為に2回戦の釣り座を決めるくじ引きを再び行う。グループ毎に2回の合計ポイントで競われるので終わって見なければ勝ち残れてがいるかはわからない。1回戦目の全体の釣果の様子から魚がスローなのが伺える。2回戦目では一体どうだろうか?天候が中々戻らないのが気になる所である。晴れれば魚の活性が上がらない筈は無いのだが…。さて2回戦目が始まり、やはり選手達の魚に対してのアプローチの違いが徐々に釣果を二分し始めていた。宙より上の数は多いがあまり口を使わない魚を狙う選手達の釣果があまり振るわず、上にいる魚より数は少ないが確実に口を使う底近くの魚を狙う選手が釣果を上げている。このいつもと違うパターンに気が付かない選手は予選通過は厳しそうだ。このパターンの釣りが得意なのは東京タナ研の選手達。安定した釣果を見せている。中でも川岸選手はかなり深い所を釣っている様子。それでもアタリが遠のくとウキの位置の変更を細目に行っている。変更した途端にまた釣れ始めるのだからやはり理にかなっている。流石のベテランの判断である。

 2回戦に及ぶいつもより長い予選が終了し、予選通過の選手が発表される。然しあくまでも半分の通過地点である。準決勝が待っているのでまだまだ予断は許さない。いつもと違う長い試合に根を上げ、体調不良を訴え辞退する選手も現れた。一体この先どうなるのだろうか?次の準決勝ではレディースの上位二名も加わり華やかになる。フォーマット的には従来通りの形に戻るのでこれよりいつも通りの個人の名称の入るレポートに戻らさせて頂く。

 準決勝に駒を進めるのはAグループからは渡辺,川岸,長島,赤坂選手。Bグループからは梅内,吉内,平野,大場選手。レディースからは川嶋、池田選手の計10名から5名が決勝に駒を進め、シード権を有す増田選手に挑戦する資格を得る。さあどんな試合になるであろうか。全ては30分後に決する。試釣の時間も終了し、いよいよ試合開始である。前回同様予選敗退した選手は観客となり準決勝に名乗りを挙げた各選手の動向を見守る。まず初めに動きを見せたのは川岸選手。予選と同じ様に深い棚での勝負に出た。続いて他の選手達も魚をかけ始めるが余り続かない。それを尻目に次々と魚をかけていく川岸選手。同じぺ―スで淡々と釣るいつものスタイル。やはり中層より底の安定感の方が本日は勝る様である。それに対して上の魚を狙っている選手達は大苦戦である。アタリも小さく中々針にかからない。続いて来たのは同じ戦略をとる長島選手。若干、川岸選手に劣るペースであるがこちらも安定している。このまま両雄の独走になるかと思いきやそれに待ったをかけたのはレディースから勝ち上がった川嶋選手。宙の釣りながら釣り方がマッチしているのか黙ってはいない。大場、赤坂選手も追いかけるが差が縮まらない。一方予選では好釣果で準決勝に進んだ平野選手は中々竿が上がらない。予選の勢いが嘘の様である。池田選手も同じくらいのペースで魚を上げている。。更に調子を崩しているのが梅内,吉内選手。大苦戦である。結局下位の選手はそのまま苦戦を余儀なくされ終了。追い上げを期待していたのだが残念である。然し終わってみれば宙の釣りを押し通した川嶋選手が見事に長島選手を差し切り、女性ながら見事2位通過である。長島選手もさぞ驚いた事であろう。結果的には川岸,川嶋,長島,大場,赤坂選手が見事決勝へと駒を進めた。昼休憩をはさんでいよいよシード選手である年間優勝者の増田選手に挑戦である。

 昼休憩も終わり、各選手が指定された決勝の釣り座に向かう。今回の長時間のフォーマットに疲れたのか皆口数も少ない。然し、試釣が始まり竿を握ると表情も一変し集中力も高まる。決勝まで進出してきた選手だけの事はある。やがて時間となり、泣いても笑っても最後の勝負。竿を構え号令と共に競技が開始された。やはり先手を取ったのは川岸選手。今までの予選と同じペースで淡々と釣り上げていく。続くのは同じ深場狙いの長島選手。追いすがるのは赤坂選手。続いて増田,大場選手。女性ながら決勝まで勝ち上がった川嶋選手の竿が停まった。このままじりじりと下がってしまうのだろうか?しかし中盤を超えた頃に男性陣にも動きがあった。大場、赤坂選手の数が伸び悩んでいる。長島選手もややペースダウン。それを機とみるか差し馬の増田選手がペースを上げ始めた。やがて残り10分になると遂に長島選手を抜き去り、川岸選手に肉薄してきた。逃げ切るのか?差し切るのか?もはやどちらが勝っているのかわからない。やがてタイムアップ。全ては検量に委ねられた。決勝は全員の魚を数える為、会場にカウンターの音が鳴り響く。やはり増田、川岸両選手の検量が中々終わらない。一体どちらが栄冠を手にしたのか?カウンターの音が止み、数字が差し出された。僅か2匹。鼻の差で川岸選手が辛うじて逃げ切り、見事今回のクラシックの栄冠を手にしたのであった。


 いよいよ決果発表である。まずは決勝に残った選手達に万雷の拍手が贈られた。続いて壇上に入賞した三名が登る。前回は増田選手の後塵を拝したがこのクラシックは見事そのリベンジを果たした。三位の長島選手は盟友とワンツーフィニッシュを決めようと思っていたのか非常に残念そうである。各自に盾と賞品が手渡され、参加者の拍手と称賛に応える様に各自誇らしげにそれらを掲げた。その後、興奮収まらず何故か写真撮影会の様になってしまった。「まるで芸能人みたいだよ」と川岸選手が照れながら口にしていたが正しくたなごの世界ではスターである事は間違いない。その後、女性の方々には特別参加賞が手渡された。そして見事決勝まで勝ち残った川嶋選手が女性の初代クラシックチャンピオンとして表彰台に立ち男性陣同様に称賛の拍手が巻き起こった。以上を以って当倶楽部のイベントは全て終了。祭りの終わりである。残念ながら恒例の集合写真はスポンサーボードの準備まではしたが感染拡大の折、果たす事が出来なかった。今年度スポンサーを頂いた協賛各社には非常に申し訳なく思っている。同様に感染拡大の影響により、やはり来期の当倶楽部のイベントについても3月以降に予定している。現場でアナウンスはしたが今回の病疫の為に現実には再開時期は不透明である。

 

 まずは準備である。状況を鑑みて再開のめどが立った時には今まで以上の楽しいイベントになる事を約束する。ホームページなどで再開のアナウンスをする予定なので確認をして欲しい。また今シーズンの賞品を提供して頂いた多くのスポンサーに改めて御礼申し上げたい。

 

当倶楽部の今シーズンのイベントにご協賛して頂いた各社様(順不同、敬称略)

淡水小物釣り工房たなきち、(株)オーナー針、(株)ささめ針、がまかつ、マルキュー(株)、(株)シマノ、グローブライド(株)、櫻釣漁具(株)、(株)ゴーセン、SHIZUKU,つり人社、千葉日報社、育男工房、菅谷工房、よし工房、工房kS、ぷ助、壱歩、深澤畳店、蛯原様、渡辺様、増田様 小美濃様 他


 

成績順位表

日本たなご釣り倶楽部

釣りは伝承の遊びです。 現在、様々な釣りが消えています。 このたなご釣りも消えないように後世に伝えられたらと思います。